留学先:National Institutes of Health(NIH).
Kotobuki Yorihisa, M.D., Ph.D.
壽 順久
2013年10月30日
ぶき太の留学 第3話
皆さん、こんにちは。気付けば僕がアメリカに来てもう半年が経過していました。英語力もさぞかし向上しているかと思えば、全くさっぱりです。漫然と生活しているだけでは英語力の向上は難しいと感じるこの頃です。
衝撃の Government Shutdown もついに終わり、NIHも通常業務が再開されました。この2週間強、ほとんどのポスドクが自宅待機している中、Approveされて土日も休まず仕事する羽目?になり大変な幸せ者のぶき太です。おかげで久しぶりにいい結果を出すことができました。さて今回は、この僕が所属するKandice Tanner Lab.をご紹介したいと思います。
僕が所属している、Kandice Lab.は1年前に立ち上がった非常に新しいラボです。Kandiceは下の名前で、普段呼ぶときは、”Hi, Kandice!” 、メールを送るときは” Dear Kandice,”もしくは”Hi, Kandice”となります。文化の違いでしょうが、未だに違和感を感じます。だって日本に置き換えたら、ボスに「おっす、イチロー。」と声をかけ、メールで「大好きなイチローへ。」と書くようなものです。怖いですね?、恐ろしいですね?。
話はそれましたが、この新しいラボで、最初にもらったものが、机と実験机、そして新しいiMacです。新しいマックに広い机と実験机をもらい、さらにマイベンチをもらって、第一印象は「すげえ!」だったんですが、すぐに壁に打ち当たりました。こちらに来て、さあ実験しよう、という段階になって気づいたのが、何も無いんです・・・物が。新しく立ち上げたラボなので特になんですが、机とPC以外のものが何も無い状態から始まりました。まず、ピペットマンを買い、PBSを買い、ウエスタン用の泳動層、転写装置を隣のラボにお願いしてもらい、フィルムを買い、などなど。最初の2ヶ月仕事で一番苦労したのが、この物を揃える作業でした。何が足りないのか、どう注文するのか全てが手探り状態でした。同時に実験手技の違いにも大変苦労しました。
ラボメートですが、4月に来たとき、ラボには僕とボス、あとテクニシャンの女性(5月に退職)だけでした。つまり僕はボスにとってファーストポスドクになります。僕で良かったのか?なんか申し訳ない・・・。5月にセカンドポスドクでBenがやってきて、6月にプレドクでAnyaがやってきて、総勢4人の小さなラボが動き始めました。
Kandiceは若干32歳でNIHのPI (Principal Investigator)になった才女です。しかもいわゆるBiologistではなくPhysicistです。考え方が全然違うので、非常に勉強になります。若手の新鋭であり、大変きついかもと最初はおびえていたんですが、非常にフランクでやりやすいボスです。アメリカに来てしばらく経った頃に「スラングを覚えたい。」と相談したときの答えが、「Happy Hour に行け!」と「Strip Clubに行って文化を学んでこい。」でした。(注;Strip clubは残念ながらまだ行けてません。)でも彼女の会話自体に非常にSlungが多くて、どっかに行かなくてもなんか普通に覚えられそうな気がします。
Benは5月にやってきたセカンドポスドクでアメリカ人です。ボスと同じくPhysicistです。とてもいい奴で、ラボのムードメーカー的な存在です。ラボのイベントは大体彼が企画しています。先日はラボのみんなでアイスホッケーの試合を見に行ってきました。彼は僕の通訳も担当してくれています。例えばボスが言ってることが分からないときに、Benに” Ben, translate please.”というと、何となくわかりやすい単語に変換して教えてくれています。本当にありがたい存在です。僕にとってアメリカでのbest friendでしょう。
Anyaは、UCSFを飛び級で卒業して、現在ポスバクとして来ているビューティフルな女の子です。賢い上に、仕事も非常に良くでき、美人さんで性格もいいときてるもんだから困ったもんです。仕事が早く終わったときなんかは、ボスの言いつけ通りBen, Anya, 僕の3人で時々Happy Hourに繰り出しています。
ボスの格言が、”Work hard, play hard !” 。週約70時間の実験と月2回ほどのHappy Hour(Happy Hourで終わりませんが)、格言はまずまずクリアしてる感じでしょうか。まだ動き始めたばかりの非常に小さいラボですが、みんな非常に仲がよく、充実したNIH lifeが送れていると思います。さて今週末はラボメートとHalloween Partyです。実験頑張ろうっと。
第一弾→ぶき太の留学 第1話~ぶき太がアメリカにやってきた~
第二弾→ぶきたの留学 第2話~ここはNIH~
2013.7.1 Update