教室関係コラム

2016.04.27

第32回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会

第32回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会
会頭:佐藤 淳先生
2016年4月23日~24日
岡山コンベンションセンター

大阪大学医学部皮膚科学教室
林 美沙

 2016年4月23日・24日の2日間、「晴れの国」岡山で第32回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会が開催されました。私の実家が香川県であることもあり、今回参加させていただきました。岡山駅は昔とは違いとてもきれいで驚きました。会場までの交通の便もよく、天気にも恵まれ快適でした。
本学会のテーマは「Dermatology Tomorrow; Collaboration」。世代間や診療科間、開業医と病院と大学の医師間で枠にとらわれずにコラボレートすることで、皮膚科学がますます発展・進化し続けるという意味が込められているそうです。学会会場ではアナライザーを使用した「Derma Live!」という参加型の講演があり、より臨床に即した症例提示がされており、日常診療をしている感覚で症例を検討できました。一つ一つの症例を丁寧に説明していただき、流れていく日常診療で立ち止まることの重要性を改めて感じました。日本臨床皮膚科医会は皮膚科を専門とする臨床医の集まりでありであるため、臨床的にとても役に立つ報告やセミナーが多く、ちょっとした工夫なでも聞けて充実した2日間を過ごす事ができました。
私は大阪大学に赴任して以来、力を入れさせていただいている爪乾癬と超音波について発表させていただきました。今回の発表では今までとは違いより臨床に即した観点からの報告としました。私もそうですが、爪乾癬はあるかないかだけをみることが多くなってしまいます。しかし爪乾癬のどの症状があるのかをきちんとみることで、病変の主座を予想し、治療計画を立てることが可能ではないかと提案いたしました。また総合病院や開業医にかかわらず超音波検査は低侵襲で簡便にできる検査であり、レントゲンやMRIなどの検査機器がなくとも関節症性乾癬の発症を予測できる可能性も提示させていただいました。両者ともまだまだ検討が必要ではありますが、難治性である爪乾癬の治療に役立てることができればと思い、今後も検討を続けていきたいと思います。大変光栄なことに、今回ポスター賞を頂きました。会頭の佐藤淳先生をはじめ、審査をしていただきました方々、私のポスターに目をむけていただきました参加者の方に深くお礼申し上げます。
あるセミナーで『皮膚科医の眼の値段』というテーマがありました。まだまだ未熟者ですが、きちんと一つ一つの症例、個疹と向き合い、自分の眼で診断をつけるという皮膚科医としての価値を高めていければと思います。

平成28(2016)年4月27日掲載

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