教室関係コラム

2015.05.03

HOME IV meeting (Harmonising Outcome Measures for Eczema)

Harmonizing outcome measurements for eczema
(HOME) IV meeting
Malmo, Sweden. 4/23~24

大阪大学大学院医学研究科
情報統合医学皮膚科学教室
准教授 室田浩之

 4/23-24にかけてスウェーデンのマルメで開催されたHOME IVに参加してきた。アトピー性皮膚炎に対する新しい治療の開発が世界的に進みつつある昨今、HOME meetingはNotttingham UniversityのHywel Wiliams教授が企画し、新薬の治療効果をどう評価するべきか、その項目を世界的に統一しようという趣旨の会議で2年に1回行われている。4回目にあたる本会はアトピー性皮膚炎の疫学に造詣の深いマルメ大学のAke Svenson教授(写真:演壇中央の先生)が世話人であった。

世界から約80名の参加者が集まり、そのうち50%はClinician、18%はpatient, 12%はmethodologist、18%は製薬関連だった。
これまでの会議において、軸となる主要評価項目がSigns, Symptoms, QoL, long-term outcomeに決定した。本会議ではSymptoms、QoL、Long-term controlについて定義と評価方法のコンセンサスを得ることが目的だ。
コンセンサスは次のような手順で得られる。まずmethodologistが提言を行い、それに関する全体質疑がなされる。その後、10名程度のグループに分かれ、それぞれ個室でグループミーティングを行う。再び全員が会議室に集い、各小グループのコンセンサスを代表者が発表する。最後にそれらの意見に関して全員で選挙を行い70%以上の賛成を得た定義あるいは項目をコンセンサスとする。この決定内容は後日論文として掲載される予定のため、ここでは内容紹介を差し控えたい。
さて、両日ともに議論は白熱し、初日が朝9:00~18:00、2日目が朝8:30から17:00頃までほぼ缶詰状態となった。小グループディスカッションは3回あった。私はHOMEへの参加は2回目で経験済みであったといはいえ、小グループディスカッショが最も緊張し、神経の研ぎすまされる時間であった。英会話のキャッチボールのスピード感は私にとって普通の学会では経験のできないものだ。ディスカッションには数名の患者と製薬企業関係者も含まれ、日本では経験できないような内容の議論が展開される。今回は山賀先生、進藤先生と同行した。アトピー性皮膚炎の治験評価項目の決まる歴史的なイベントを体験できるまたとないチャンスを得て、両先生ともに緊張しているのではないかと想像してい
た。しかし私の心配をよそに、山賀先生、進藤先生ともにグループミーティングで友人ができるなど、この好機をうまく生かしていた。お二人は未完の大器とお見受けした。

タイトなスケジュールゆえ、残念ながらマルメの余韻を味わうことはできなかった。会議終了後、私たちはコペンハーゲンに移り、次の目的地であるポーランドのブロツワフへ飛び立った。(ブロツワフ大学でのセミナーに続く・・・)

平成27(2015)年5月3日掲載

  • 社団法人日本皮膚科学会
  • 日本皮膚科学会中部支部
  • 日本皮膚科学会大阪地方会