教室関係コラム

2012.11.16

第10回日独皮膚科学会

第10回日独皮膚科学会 German-Japanese Society of Dermatology (GISD)

片山一朗

会頭:荒瀬誠二 徳島大学名誉教授
会場:The Pacific Harbor       
会期:2012年11月14−17日 片山一朗

 荒瀬誠二先生が今回会頭を務められた日独皮膚科学会は西山茂夫北里大学名誉教授、植木宏明川崎医大名誉教授などドイツに留学された先生を中心に組織された学会で、第一回大会はドイツHeidelbergでHornstein先生を会頭に開催された。その後、3年毎に日独交互に開催されている。日本では過去、植木先生が倉敷で第2回大会を開催され、その後西山先生が箱根、西岡清東京医科歯科大学名誉教授が奈良、勝岡憲生先生が横浜で開催された。ちなみにドイツ側はSchopf, Freiburg大学教授、Happle, Marburg大学教授、Mauer, Dresden大学教授、Elsner, Jena大学教授がそれぞれ開催されている。私もMarburg以来参加しており,2002年に西岡先生が開催された時には長崎でPost Congress Meetingを担当させて頂いた。雲仙などに案内し、温泉や海の幸を楽しんで頂いたことを思い出した。今回もドイツ側、日本側からあわせて60題近い演題が発表された。私自身はドイツ留学の経験はないが、なぜか、会員にして頂いている。この会のおかげで多くのドイツ人の知己を得ることができ、今回もElsner教授以外に上記の先生方やMunchen大学のThomas Ruzicka教授やHidelber大学のDiepgen教授、Enk教授などと再会できた。初日は少し遅れて参加したが、最後のセッションの獨協大からのEhler Danlos症候群、浜松医大のTrichophalangeal syndromeのコメントの際、Munchen大学名誉教授のPlewig先生から、ドイツでの国立の難病疾患センターの現状の説明があり、患者会や企業を含めたしっかりした組織があること、日本ではどうかという質問があった。私も皮膚科領域の難治疾患の治療センターの必要性を日頃から感じており、多いに参考になった。会の終了後はWelcome receptionがあり、皆さんそれぞれ、旧交を温められていた。また会の途中で阿波踊りのExhibitionがあり、団扇を片手に日本の踊りを楽しまれ、何よりであった。2日目はElsner教授のHand eczemaのProtective軟膏の評価の話があった。阪大でも荒瀬先生を中心に同様の臨床研究を進めており、彼らのTEWLやQOL評価など、われわれと同様の手法で多数の外用薬のHand eczema予防の評価をされており、大変参考になった。またWollenberg先生はHyper IgE症候群がSTAT3の欠損するDominant typeと、DOCK8の欠損するRecessive typeの2型があることを講演され、後者で骨髄移植が有効であるとの話を伺った。また9月まで阪大におられた井川先生がOdntogenic focal infectionが原因と考えられるアナフィラクトイド紫斑の報告をされた際、やはりPlewig先生が、米国で歯周囲炎による敗血症で死亡する例が増加しているとの報告を紹介され、歯科領域の感染症の予防の重要性を強調された。毎回参加するたびに感心するのはリタイアされた先生方が非常に活動的で、また驚くほど博識であり、専門外の分野でも鋭いコメントを発せられることで、我々の世代ももっと勉強することがあることを再認識させられる。コーヒーブレークの時荒瀬先生や植木先生と此の会のレベルが以前に比し、ずいぶん上がったこと、日本からの若い先生方の英語での発表や受け答えが見違えるほど向上していることなどの話で盛り上がった。この後は残念ながら所用で徳島を後にしたが、3日目はCongress Tour、4日目は一般演題、その後東京に移動され、東京医大の三橋善比古先生が主催のPost congress meetingに参加され、ご帰国の予定で、次回は2014年6月にHeidelberg 大学教授のAlexander Enk教授を会頭に開催される予定で今から楽しみにしている。

Elsner教授の講演と質問されるHapple先生

長崎でのPost congress時の写真2002年(左:長崎大学医学部、右:蝶々夫人のレリーフ像の前にて。前列左より、植木教授、Mauer 教授、Happle教授)

平成24(2012)年11月16日掲載

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