教室関係コラム

2014.12.17

第39回日本研究皮膚科学会(JSID)

第39回日本研究皮膚科学会(JSID)
会長:片山一朗大阪大学皮膚科教授
会場:千里 ホテル阪急Expopark
会期:2014年12月12日−14日

大阪大学大学院医学系研究科
情報統合医学皮膚科学
教授 片山一朗

http://www.cs-oto.com/jsid39/
PROGRAM (pdf)

  第39回日本研究皮膚科学会(JSID)を大阪大学が担当し、開催した。室田先生(事務局長)、小豆澤先生(実行委員長)を中心に2年間に亘り準備させて頂来成功のうちに終了した。

 大会テーマを「Global Tuning of Innovative Dermatology」とし、12日朝のPlenary sessionから大会は始まり、13日夕方まではJSIDプログラム、夜からはJSID,Asia,Oceania Forumに移り、招待講演の審良静夫 大阪大学教授が「Rignase-1,a ribonuclease involved in the inflammatory and immune responses」というタイトルで最新の知見を講演された。いつ聞いても常にあたらしいデータを話され、講演後しばらくして大体Natureなどに論文が掲載される。翌日は月田早智子教授、石井優教授、菊池章教授など大阪大の著名な先生を中心とした大変Excitingなフォーラムが行われた。本学会の特徴は公用語が英語であり、前日の代議員会からはすべて英語であり、さすがに消耗された先生も多かったようである。参加者は792名、応募演題は国内201題、海外57題を頂いたが、例年より少なかったようである。昨今、特に地方で勤務医の減少による若い皮膚科医の研究、留学希望者が減少しているとの話や欧米でもMDの研究離れが深刻化しているとの話を良く耳にするが、心配する教授も多かった。ただPlenary session を中心とする若い先生のPresentationは大変立派で、質問などに対する受け答えも以前に比べると大きな進歩が見られた。阪大からも楊飛君が「Topical rapamycin treatment is effective in hypopigmented macules of tuberous sclerosis」というタイトルでPlenary lectureに採択され立派に講演された。その他阪大関連は口演が5題、ポスターが10題と若い先生方が頑張ってくれた。

 初日午後は飯塚一旭川医大名誉教授、塩原哲夫杏林大学教授が名誉会員に推薦され、認証式が行われた。お二人の先生には長年にわたり、公私共々にお世話になったが、今後もお元気で我々を指導して頂きたい。また海外からのEnk, Caughman, Christiano教授がそれぞれESDR, SID,前理事長、Tanioku Memorial Lecture 受賞者として名誉会員に推薦された。

今年のTanioku Memorial LectureはColombia 大学の皮膚科・遺伝・発生学教授のAngela Maria Christiano教授が受賞された。講演タイトルは「Genetics and immunology of alopecia areata」とされ、円形脱毛症に対するIL15を標的とする最新の治療を紹介され、さらにJAK阻害薬の効果にも言及された。我々も尋常性白斑への生物製剤の可能性を検討しており、大変興味深く拝聴した。
彼女は大変高名な先生ではあるが来日は今回が二回目で、我々の教室から彼女のラボに留学されていた梅垣知子先生が終始エスコートされ、彼女も日本の焼き肉やショッピングを楽しまれたそうである。また梅垣先生は最近Science Transl Med に発表された「Induced pluripotent stem cells from human revertant keratinocytes for the treatment of epidermolysis bullosa.」がPlenaryに選ばれ、素晴らしい発表をされた。彼女の成果は今後遺伝性皮膚疾患治療に大きなインパクトを与える事が期待される。今後も研究を継続して頂きたい。

(Tanioku Memorial LectureでのAngela Maria Christiano教授)

 初日夕方からは天谷教授、Caughman SID理事長、Picard ESDR教授が紋付、袴姿で登壇され、Young Fellow Collegilalityの認証式が行われた。2年前の沖縄でのJSIDの琉球王朝衣装、昨年のエジンバラでのIIDにおけるスコットランドの民族衣装に引き続く仮装で、自ら挨拶でCostume fleakでDisguise
が大好きと言っておられ、大きな拍手を受けられていた。彼は今回の初日までが3年間の理事長職であり、本当に日本皮膚科学会の研究レベルを世界水準に高められ、心からご苦労様でしたと労いたい。次期理事長には東大の佐藤伸一先生が就任され、今後の日本の研究皮膚科学会を牽引していかれる。若手研究者の研究へのMotivationをどう高めていくか,健全な学会運営など課題は大きいかと思うがご尽力を願いたい。

今回は学会中イルミナイトとして太陽の塔がライトアップされ、また恒例のラーメンフェスティバルも時期をあわせて開催され、学会の合間に楽しまれた先生も多かったようである。また会場の阪急エキスポホテルは1970年の万博開催に合わせて建設されたようで、当時の香りがそのまま残されていた。ただコンビニやルームサービスもなく、ご迷惑をかけたようであるが、ある教授に言われた、Gordon Conferenceに出席しているようで、学会に集中できたと言われホットしたのも事実である。
今回は皮膚科学会のコンベンションチームに全面的にバックアップされ、室田先生、小豆澤先生の負担も少しは軽かったのでは勝手に思っているが、教室員の皆さんには心よりお礼を申し上げる。

(会場入り口にて)

(日本万国博覧会記念公園「太陽の塔」にて)

第40回大会は岡山にて岩月教授を会頭として開催される予定である。

大阪大学大学院医学系研究科教授 片山一朗
平成26(2014)年12月17日掲載

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