教室関係コラム

2015.06.20

第23回世界皮膚科学会

第23回世界皮膚科学会(World Congress of Dermatology)
学会長 Jerry Shapiro
バンクーバー国際学会場パンパシフィックホテル
2015.6月8-13日

大阪大学大学院医学系研究科
情報統合医学皮膚科学
教授 片山一朗

会場からパンパシフィックホテルに向かう通路に掲げられていたカナダ人画家の絵画。  

この大会はオリンピック同様に4年に一回開催され大体、欧州圏とそれ以外の国で交互に開催されている、私は1983年に故安田利顕先生を会長に東京で開催された時に初めて、講演し、その後2007年のベノスアイレス、2011年のソウルに引き続き、今回で4回目の参加になる。他の学会に比べて参加する機会の少ない学会であるが、世界中から1万人を超える参加者があり、多くの知人と再会できることや4年間における皮膚科に進歩や今後の方向を示す講演、発表があり大変勉強になる学会である。 昨今、日本からの海外留学生の減少や国際化の遅れが危惧されているが、このような大きな学会に参加し、多くの人と知り合い交流することが重要と考える。その意味で今回、中国や韓国、そしてインドの活躍が目立ったことで皮膚科においても日本の後退を感じた学会でもあった。ただ日本の皮膚科学が基礎研究を中心に進歩してきたこと、この世界皮膚科学会が感染症、皮膚外科、美容皮膚科などを中心にプログラムが構成されており、日本から発表する意義がやや欠けるのはやむを得ないかもしれない。そんな中、プログラム委員として参画された宮地良樹ILD事務局長のご尽力で50人の日本人スピーカーが講演の機会をもたれたことは何よりであった。ただ個人的にはもっと若手教授がどんどん座長として選ばれ、講演していただきたいと願う次第である。また今回8年?の長きにわたりILD の理事として貢献された宮地教授が退任され、その後任として椛島教授が接戦を制して理事に就任されたことは日本の皮膚科学にとり大きな収穫であり、宮地教授にご尽力に心から敬意を表する次第である。  さてバンクーバーは人口240万人を有するカナダ第3の都市であり、2010年に冬季オリンピックを開催したくらいの予備知識しかなかったが、夏の日差しと爽やかな大気が我々を迎えてくれ、札幌に似たビールの美味しい街であった。街並も機能的に整備され、参加者の先生も学会の合間にバンクーバーを楽しまれたようであった。私自身、今回は白斑、痒みを中心に参加したが、特に白斑の病因論の進歩と今後の治療の可能性に関する発表は得ることが大いにあった。また今まであまり興味がなかったざ瘡も、分子標的薬の副作用としてのざ瘡様発疹症や酒さ様皮膚炎、さらに自然免疫と関連のありそうな口囲皮膚炎など多くの発表があり、私が今研究している11βHSD1/2と関連しそうで、これから新たな視点で治療薬の開発をしていきたいと考えた次第である。教室からは室田准教授、楊伶俐、楊飛、小野大学院生が出席、発表した。

大阪大学大学院医学系研究科教授 片山一朗
平成27(2015)年6月20日

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