第115回日本皮膚科学会総会
会頭 中川秀巳 東京慈恵会医科大学皮膚科教授
会場 京都国際会議場
会期 2016年6月3日〜6月5日
テーマ —Never Ending Dermatology〜発展し続ける皮膚科学〜
大阪大学大学院医学系研究科
情報統合医学皮膚科学
教授 片山一朗
(画像:会頭講演とテーマ)
講演、演題については、私自身、今回委員会、会議、座長が多く、聞きたい演題がフォローできず残念であった。教育講演では、「発汗異常と皮膚疾患-知らないと冷汗かきますよー」での、川崎医大川崎病院の青山裕美先生の「痒疹に対するヘパリン類似物質外用の効果」を興味深く拝聴した。軟膏よりクリームが効果のあること、たっぷり外用することで、ストロンゲストクラスのステロイドが無効であった多数の改善例を紹介された。ラップなどの保湿作用だけでは改善せず、またフロアからの質問で軟膏よりクリームが有効の理由じゃ現時点では不明との答えであったが、クリーム中に含まれる成分のチモールなどの効果なども考える必要があるかと聞きながら考えた。またこれも驚いた報告で、アミロイド苔癬に効果があった例を紹介された。座長の塩原先生のコメントでは外用開始後1W位で組織学的な炎症反応を認め、その後アミロイド沈着も消失するようである。我々も以前トコレチナート軟膏がアミロイド苔癬に効く例を報告したが、同様に一過性の炎症反応を認めた。 (Terao M1, Nishida K, Murota H, Katayama I. Clinical effect of tocoretinate on lichen and macular amyloidosis. J Dermatol. 2011 .38(2):179-84.、昨今、スポンサードシンポやセミナーはメーカの意向が強く反映されるようになり、興味を引く発表が減ったが、今回は若手の登用が多く、好評であった。また従来無かった学際的なシンポも私が担当した「痛みと痒みを解き明かす」やノーベル賞受賞者の大村智先生の講演など7つの特別企画が組まれ、来年以降の総会でも同様の企画の継続を御願いしたくなるような興味深い講演が目白押しであった。
またポスター賞の中でWilliam Epstein賞を教室の加藤健一先生が受賞された。この賞はUCSFの教授で日本とも親交の深かったEpstein教授のご寄附によるもので、過去以下の4人が受賞されている。
第111回総会 江崎仁一先生 (九州大学)
第112回総会 平郡真記子先生(広島大学)
第113回総会 稲葉豊先生 (和歌山医科大学)
第114回総会 三宅智子先生 (岡山大学)
第115回総会 加藤健一先生 (大阪大学)
(島田理事長から賞状を授与される加藤先生)
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