教室関係コラム

2018.01.01

さらに楽しい皮膚科学を目指して

さらに楽しい皮膚科学を目指して

大阪大学大学院医学系研究科
情報統合医学皮膚科学
教授 片山一朗

謹賀新年
 皆さま輝かしい新年を迎えておられると思います。今年は皮膚科医となり40年が経過し、退官を迎える歳になりました。ある時間と空間、そして様々な世界を共有して頂いた全ての方にお礼申し上げます。勤務医、研究者としてやりたい事は全てやり遂げたと思います。今後は、また新しい出会いを大切にし、自分の世界を広げていきたいと考えています。新たなご厚誼をお願い申し上げます。
 さて昨年から、後期研修医制度が開始され、医師の地域的偏在、診療科間での偏在に加え、臨床科における研究者の減少が顕在化してきました。またトランプ現象に代表される孤立化と利権の囲い込みがアカデミアの世界にも押し寄せつつあるようです。ただ医局長の壽先生から関西圏の大学皮膚科教室間で、医局長連絡会議が持たれるようになり、学問のみでなく、医師の勤務支援や人事交流の下支えのための情報交換会を開始したとの話を聞きました。私も医学の分野の高度化と反比例するようにマンパワーの低下、運営交付金の減額が進み、最近では、競争的研究費獲得のハードルが高くなり、皮膚科のようないわゆるマイナー科と言われる診療科の医学の中での地位の相対的な低下はアメリカやお隣の韓国と似た動きをしております。これは若い皮膚科医を指導する中堅の医師が2004年のスーパーローテート以来大きく減少していることや、大学以外でのストレート研修を希望する医師が増えていること、女性医師の増加に伴う診療現場あるいは研究分野での絶対的なマンパワー不足がさらに進んでいることによるのかと思います。そのような中で先に述べた関西圏での大学を超えた連携体制の試みが医局長の先生達のご尽力で開始されたのは本当に心強い限りで、是非その流れを進めて頂きたいと思います。私も何年か前から、皮膚外科や臨床の中で必要とされる皮膚病理、また皮膚科医として膠原病などの疾患を取り扱う上で最低限の全身管理や皮膚科的な見方を勉強する機会がとみに減っていることに大きな危機感を持ってきました。その対策として、関西圏の皮膚科施設の先生が集まり皮膚腫瘍、皮膚病理を一緒に勉強するなにわ皮膚科腫瘍勉強会を種村講師の尽力で立ち上げ、参加者も増加しているようです。また以前京大と阪大で研究に特化して行っていた「天王山カンファレンス」が「関西若手皮膚医の集い」として模様替えし、先ず参加可能な大学の准教授の先生方にプログラム委員会を作って頂き、臨床、基礎両方の演題が発表されるなど、新たな展開をみせています。先日開催された会に、若手ではありませんが参加させて頂き、熱心な討論を楽しませて頂きました。若手に限らず、参加案内など出して頂ければ、より有益な会に育っていくかと思います。また大阪はびきの医療センターの片岡葉子先生が「アトピー性皮膚炎治療研究会」の組織や運営方法を大幅に変更され、若い先生が全国から集まりやすい研究会に様変わりしつつあるようです。さらに昨年から大阪国際がんセンターに爲政大幾先生が赴任され、「腫瘍皮膚科」の看板を上げられ、全国から皮膚腫瘍の治療に興味を持つ若い先生が研修できる組織作りを開始されました。これらの大学間を超えての研修、研究、討論が出来る場が増えれば、若い先生方が楽しい皮膚科学を研修できる事が可能になりますし、それぞれの特徴を持つ大学病院あるいは基幹病院、さらに開業の先生の施設で何年か研修、研究し、また出身医局にその成果を持ち帰って頂くことも可能になるかと思います。もちろんそのためには、各大学の大学教授、指導医師が参加する地方会での若い人の教育が何より大事なことは言うまでもありません。
 後期専門医制度が始まる今年こそ、若い先生がさらに楽しい皮膚科学を学べ、そして次の世代にその知識や技術、そして個々の皮膚科医の哲学を継承させていくことの出来る環境を創って頂きたいと思います。

昨年12月に第3回インドシナ皮膚科学会で参加したハノイでたまたまシャッターチャンスがあった、大学病院看護師の卒業セレモニー。
次のステップに進まれる喜びが溢れている写真かと思います。

大阪大学皮膚科教授 片山一朗
平成30(2018)年1月1日

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