教室関係コラム

2013.05.20

第6回International Investigative Dermatology (IID)

第6回International Investigative Dermatology (IID)
会長:Alexander Enk 教授(ハイデルベルク大学)
会場:エジンバラ国際会議場
会期:2013年5月8-11日

大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学
皮膚科教授 片山一朗

 IID2013が英国エジンバラで開催された。この学会は米国研究皮膚科学会(SID),日本研究皮膚科学会(JSID)、欧州研究皮膚科学会(ESDR)の3学会が合同で5年に一回開催されている。1985年に三嶋豊神戸大学名誉教授、水野信行名古屋市大名誉教授等のご尽力でSIDとJSIDによる合同学会がワシントンで開催され,その後1988年から現在の形式になりワシントン、京都、ケルン、マイアミ、京都で大会が開催されている。理事会で聞いた話では,今回は2,500人をこす参加者があり、日本は米国、英国に次ぐ300人を超す参加者があったそうである。次回2018年からはISIDという名称となり、各Society4人、計12人の委員により運営されていくそうである。現時点ではこの組織に入る資格は、JSIDのように英語を公用語にしているなどハードルが高く今後アジア、南米などの研究皮膚科学会の参加も予想されているが、少し、先になりそうである。エジンバラには5月6日の夜に着いたが、英国に留学していた32年前に一度訪れたことがあり、遅い夕食に出かけた際にライトアップされたエジンバラ城を懐かしく見上げた。翌日の朝からSatellite symposiumがあり私もDermatoendocrinology (寺尾先生がHSD1に関する口演)、Pigment cell development (壽先生がTSC-1のメラノサイト異常の口演に採択され、米国から参加したが、到着日に食べたエジンバラのカキにあたり沈没した)に参加した。IIDは毎回Plenary session, Concurrent mini symposium ともにテーマがやや広く、また充分な討論時間がなく、消化不良気味になるが、これらのサテライトシンポでは世界の第一線で活躍されている基礎研究者も多数参加され、現時点のホットトピックス、今後の研究の流れが良く理解できた。また私は時間の関係で参加出来なかったがLupusの国際学会もあり、日本側の代表である古川福美先生からは、あらたなSLEの国際診断基準にどのような皮膚症状をいれるか、シェーグレン症候群の環状紅斑をどう考えるかなど、かなり激しいやりとりがあったようである。IIDの開会式は学会会場から一ブロック離れたUsher Hallで8日17時30分より始まった。大会長ESDR( Amexander Enk)、SID(Thomas Kupper)、JSID (天谷雅行)の3先生と関係者がバグパイプ奏者の先導で入場され、祝辞のあとEnk教授がユーモアあふれる開会宣言をされ、天谷教授も堂々としたスピーチをされた。(皆さんスコットランドの民族衣装であるキルト姿で特に天谷教授がいちばん似合っていたとの評判であった)。大会は1,500 題超の演題がPlenary, Concurrent,ポスターに分けられ発表されたが、口演は10%程度と激戦であった。日本からの演者は皆さん見事に発表されたようであり、日本の皮膚科学の基礎研究のレベルの高さを世界に示すことができ、ここまで若手のレベルアップにご尽力されてきた天谷理事長に感謝したい。また各Rising Star Lecture (Societyの推薦者3人)の講演で、椛島先生が2光子顕微鏡を用いて解析された接触皮膚炎の感作過程における、細胞間クロストークの観察結果から提唱されたinducible skin associated lymphoid tissue(iSALT)の概念は多くの聴衆を魅了した。日本人として多いに誇りに思いたい。大会中は会長招待会(エジンバラ城)や懇親会(国立博物館)などのプログラムにも参加する機会があり本場のスコッチを充分楽しむことができ、多くの先生方とも再会できた。今大会で総括としては私が聞いた範囲で、日本からの若い先生の発表がどれも素晴らしく、逆に座長が内容を把握できないような高度な内容を堂々と発表されていた点、椛島先生の発表以外、欧米からのInnovative で記憶に残るような講演がなかった点、皮膚科医以外の発表が多かった点、創薬に関連する企業との共同研究の演題が多かった点などが挙げられる。逆にiPS細胞などの旬の研究は22題と少なく、免疫関連の演題の多さと対称的であった。また過去のBig nameが第一線の舞台から退場され、世代交代が進んでいる現状を再認識した。そのほか今大会ではFuture Leaders Symposium, IID Trainee Retreatなど次世代の研究者への教育的なプログラムが幾つか組まれていた。日本でも若手の研究離れが進んでいることが危惧されているが、欧米でも同様の現状があるようで、皮膚科の若い先生には是非新たな視点で世界に通用する質の高い研究を推進して頂きたい。

開会式 ‘(段上右より、Enk, 天谷、Kupper教授)

大阪大学大学院情報統合医学皮膚科 片山一朗
平成25年5月20日掲載

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